ファイナンシャル・ナレッジは待っていても来ない。得られない。　Toshinari Yamamoto／山本俊成

何かをはじめるとき、
自ら足を突っ込んでいくのが信条なんです。

香港法人を設立したのは2012年3月です。当初から自分のフィールドをアジアに広げていくという夢と構想はありました。私の分野は、ファイナンシャル・プランニング。世界の最先端な金融情報が集まる香港という街には、前々から興味を持っていました。
きっかけは、クライアントからのアジアでの資産運用の相談を受けたこと。色々と要望の高まりを感じていました。
私は、何をやるときもそうなんですが、まずは、自ら足を突っ込んでいくのが信条。株をはじめるなら、本を読むより、まずは証券会社に口座をつくる、といったタイプ。まずは、自分で・・、と調べてみると、設立・運営コストも思ったほど高くない。では、ここで、ひとつ勉強してみるか、と香港法人を設立しました。

気がつけば、増えていた香港出張。

法人設立後、最初の渡航は、銀行の法人口座の開設のためでしたが、せっかく香港に出張に来たのだからと、現地の金融のプロや起業家の集まる交流会に出てみると、思っていた以上に、ホットな情報が飛び交っている。もちろん、玉石混合でしたが、非常に勉強になり、よりアンテナ感度が高まっていきました。

帰国後、日本の名刺にも香港法人の住所とアドレスをいれ、興味をもってくださった方には、情報をフィードバック。すると様々な話がやってきて、香港に一緒に行ってくれと頼まれるようになりました。
そして、また出張にいく度に、香港の銀行マンや証券マン、投資、不動産のプロに積極的に会いにいき、人脈と知識を広げる。パートナーシップを結ぶ。そして、また圧倒的に語る量が増えていく。そして、また日本でお客様にお話をする。すると香港渡航のアテンドの依頼を受ける。最初の２年は、情報収集を目的に活動していましたが、気がつけば一月半に１回は、香港と日本を往復するようになっていました。（香港のおいしいレストランは、ちょっとした旅雑誌よりも情報を持ってる自信もあります笑）

香港と日本、ファイナンシャル産業の違い。

人脈ができて、香港で様々なファイナンシャル分野の方々にお会いしていると、いつも痛感するのが、“日本のファイナンシャル産業”の遅れ。もちろん、色々な法規制等、国の方針もありますが、顧客の課題に対するソリューションは、圧倒的に香港のほうが多い。こちらが困ったことを相談すると最先端なナレッジを紹介してくれる。一方、彼らは日本への興味はそこまで高くない。情報交換する際、日本のファイナンシャル商品の事情について聞かれることも最近は、円安の影響で不動産くらい。少しさみしいですが、ファイナンシャルのナレッジとスキルを磨きたい私たちのような人間にとって、日本で学べるものと、香港で学べるものでは、量も質もまったく違いますね。

これからのビジョン

設立してから、渡航を繰り返しているうちに、知識と人脈は手に入りました。３年目あたりからは、それを活かし、香港の金融視察など様々な企画をお客様に提供しています。また、以前から取得している、ロングステイアドバイザーの資格もあり、資産運用だけでなく、海外移住のアドバイザリーのお仕事を受ける事も増えてきました。
今では、お客様以外でも「香港・アジアのことなら山本に聞け」という認知は高まって来ているように感じます。海外のファイナンシャルの情報を精査できるFPは日本にはまだまだ足りていないですからね。
これからは、よりアジアに仕事をシフトしていく構え。私たちの仕事は、オフィスがなくてもできる仕事。将来は、私自身も海外の居住地をうつしての活動も視野にいれています。

知識を得るための法人設立からのスタートでした。手に入れた人脈と知識は、私を次のステージへつれていってくれようとしています。

東京のおいしい魚を食べにいくのに、築地にいく。それと同じで、ファイナンシャルを学ぶのであれば、香港。これは断言できます。

2015 5月

チャレンジを受け止めてくれた香港。ここで僕は、自分を磨く。 Yuta Muraishi／村石雄大

本当にゼロからの立ち上げ

北京の大学を卒業後、日本で就職活動をしているときに思わず目に飛び込んで来たのは、「香港支社立ち上げ」の文字。現在の香港法人の日本本体である株式会社PGAの求職サイトの情報でした。語学を活かしたいと思っていたので、即座に応募。熱意を伝え、内定。そして、入社後、３ヵ月の日本での準備を経て（法人の設立、オフィス選びはその時）、香港へ乗り込んできました。

ただ、本当に何もない状況からのスタート。顧客ゼロ。マニュアルなし。知り合いは、一緒に赴任してきた先輩のみのたった二人。言葉は学んではいたのですが、北京語と広東語の違いもわからないままだったので「ニーハオ」と挨拶したら、「ネイホー」とかえってきたことに愕然としたことを覚えています。

オープンマインドなビジネスカルチャー

取引先のないなか、最初に行ったのは、市場調査。当社はスマートフォンアクセサリーの企画・製造会社なのですが、最初は、街でスマホのカバーを売ってるお店を見つけるたびに、値段や、取り扱い卸業者等をチェックしていました。

最初の受注は、香港に来て1ヵ月目。街で見つけたスマホの裏にのっている取扱会社にコンタクト。WEBのお問い合わせフォームからメールをおくって、電話して、本当にPUSH型の営業です笑。　ただ、当時の円高もあって、日本クオリティといえども、当社の商品は、現地の競合商品の３倍。しかも、認知度ゼロ。なかなかハードな営業でした。

香港だからブランドが広がる。そして、他国へ

香港市場の面白いのは、そんな当社でも、新規の取引先として、アタック先が真剣に聞いてくれること。最初は、小ロットのものでも、ビジネスでのメリットをしっかり伝えることで、取引につながります。
また、戦略的に、アップルストア等、認知度が高まりやすい取り扱い店舗を増やして来たことで、徐々に香港市場のスマホアクセサリー問屋の間で認知度が高まっていきました。
現在は、年々、香港市場への供給量は、200%アップで伸びており、最近では、香港での広まりを見た台湾のエージェントとの取引にも繋がっています。また２年目からは香港法人単体でも黒字経営。人の採用も検討中です。
また、中国語圏での広まりは、現在の中国メインランドへの挑戦も後押ししてくれています。

この３年間がもたらしてくれたもの

日本の会社には外貨を安定的に稼ぐ国外機関としての機能を果たしているので、それなりに恩返しはできているのかな、と（笑）。
何よりも自分にとって、この３年間のチャレンジは、特殊な経験と自信をもたらしてくれました。日本の同期からは、「大変だね〜」と言われることもありますが、間違いなく、この３年間は日本にいては味わえなかったもの。

香港は、何もない状況からの無謀なチャレンジを受け止めてくれました。そして、なによりも自分を成長させてくれた場所。
住む前よりも、好きになれたし、アジアで自分を磨きたい20代には、自信をもって勧めることができます。

ただ、続けることが本当に大切なんですけどね。

2015年5月